2026.10.19
コラム
剪定という技術|なぜ奥が深いのか
造園業には、草刈り、植栽、伐採、土木といろいろな仕事があります。
その中で、最も年数がかかると言われるのが剪定です。
機械の操作は、資格を取って何度か使えばできるようになります。
しかし剪定は、何年やっても「これでよかったのか」と考え続けることになります。
今回は、熊本市の造園会社いづの造園が、剪定という技術についてお伝えします。

剪定は「切る技術」ではない
意外に思われるかもしれませんが、枝を切ること自体は難しくありません。
ハサミやノコギリの使い方は、数か月で身につきます。
難しいのは、どの枝を切るかを決めることです。
木の前に立って、
- どの枝を残すか
- どの枝を落とすか
- どこで切るか
これを判断する。
剪定の技術の9割は、この判断です。
なぜ判断が難しいのか
1.正解が一つではない
同じ木でも、目的によって切り方が変わります。
- 台風で折れないようにしたい → 透かして風を抜く
- 見通しを良くしたい → 下枝を上げる
- 小さくしたい → 切り戻す
- 自然な形を保ちたい → 最小限にとどめる
「その木にとっての正解」ではなく、「その現場での正解」を選びます。
2.結果が出るのが1年後
枝を切ると、木はそれに反応して芽を出します。
どこから、どのくらいの勢いで出るか。
それが分かるのは、翌年の春以降です。
「この切り方でよかったか」の答え合わせに、1年かかります。
1年に1回しか検証できない。
だから、上達に年数がかかります。
3.3年後、5年後を想像する必要がある
今きれいに整えることは、比較的簡単です。
難しいのは、
- 3年後、この枝はどこまで伸びるか
- 5年後、樹形はどうなっているか
- 建物や電線に届かないか
- 内部が枯れ込まないか
未来の姿を想像しながら、今の枝を選ぶ。
これが剪定の本質です。
4.切りすぎると戻せない
草は刈りすぎてもまた生えます。
しかし枝は、一度切ったら戻りません。
とくに、
- 内部の枝を切りすぎると、そこは光が当たっても再生しないことがある
- 太い枝の切り口は、大きいほど腐朽菌が入りやすい
- 強く切りすぎると、木が弱る
取り返しがつかないという緊張感が、常にあります。


樹種によってまったく違う
さらに難しいのは、樹種ごとに性質が違うことです。
萌芽力(切ったあと芽を出す力)
強い樹種は、多少強く切っても回復します。
弱い樹種は、古い枝から芽が出ないため、切りすぎると枝だけになります。
花芽をつける時期
花の咲く木は、切る時期を誤ると翌年花が咲きません。
「花が終わった直後に切る」が基本になります。
切り口の癒合しやすさ
サクラのように、切り口から腐朽が入りやすい樹種があります。
成長速度
早く伸びる木と、ゆっくりの木では、剪定の間隔が変わります。
適期
- 落葉樹……葉が落ちた11〜2月
- 常緑樹……春の芽吹き後から梅雨前、または秋口
- 松……春のみどり摘みと、冬のもみあげ
「木を覚える」ことが、そのまま剪定の技術になります。
松は、特に手間がかかる
造園の中でも、松の手入れは別格です。
みどり摘み(春)……新芽を一つずつ手で摘む
もみあげ(冬)……古い葉を一枝ずつ手で取り除く
ほとんどが手作業です。
一本の松に、半日から数日かかることもあります。
機械で一気に刈り込むわけにはいきません。
そうすると葉が途中で切れて茶色くなり、内部が蒸れ、独特の枝ぶりが失われます。
時間をかけることそのものが、技術の一部になっている作業です。
上達の道筋
いづの造園の場合、次のように進みます。
1年目……切った枝を運ぶ、集める。先輩の手元を見る
2〜3年目……簡単な部分を任される。低木の刈込み、支障枝の処理
3〜4年目……自分で判断して切る場面が増える
4〜5年目……「どこを切るか」を任される
それ以降……樹種ごとの癖、現場ごとの条件を踏まえて判断できる
いづの造園では、2年目以降を「一人でも現場を任せられる職人」と位置づけています。
そこから先、剪定の判断力を磨いていく段階が続きます。

上達する人の共通点
1.結果を見に行く
自分が切った木を、翌年見る。
判断と結果をつなげる習慣が、いちばん効きます。
2.なぜその枝を切ったのか、理由を持つ
「なんとなく」で切っていると、何年やっても上達しません。
「この枝は内側に向いているから」「ここを残すと内部に光が入るから」
理由を言葉にできると、次に応用できます。
3.先輩に理由を聞く
「なぜその枝を切ったんですか」
この質問は、剪定の上達には欠かせません。
いづの造園は「堅苦しさがなく、社員同士の関係も年齢や役職を問わず良好」であることを強みとしています。
技術を若手へ丁寧に継承する文化を大切にしています。
4.失敗を覚えておく
切りすぎた、樹形を崩した、翌年変な枝が出た。
これらの経験が、次の判断を変えます。
5.続ける
四季を一巡して全体像が見え、数年繰り返して判断ができるようになる。
年数そのものが技術になるのが、剪定です。

剪定の面白さ
大変さばかり書きましたが、面白さもあります。
1.木が応えてくれる
正しく切れば、翌年きれいに伸びます。
自分の判断が、目に見える形で返ってくる。
2.同じ木がない
樹種、樹齢、環境、これまでの手入れ。
同じ木は二つとありません。
だから飽きません。
3.何年も付き合える
公園や施設の年間管理では、同じ木を何年も担当します。
去年の自分の仕事を見ながら、今年の判断をする。
時間をかけて、一本の木をつくっていく感覚があります。
まとめ
剪定という技術について、まとめます。
- 剪定の9割は「どの枝を切るか」の判断
- 難しい理由は、正解が一つでない/結果が1年後/未来を想像する/戻せない
- 樹種ごとに性質が違う(萌芽力、花芽、適期、成長速度)
- 松は特に手間がかかる。手作業であることが技術の一部
- 上達には、結果を見に行く/理由を持つ/聞く/失敗を覚える/続ける
- 面白さは、木が応えてくれること/同じ木がないこと/何年も付き合えること
年数が力になる仕事を探している方には、向いている分野だと思います。
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公園・道路・学校・公共施設などの公共工事から、工場・事業所・商業施設・集合住宅といった民間の敷地まで実績があります。
株式会社いづの造園
- 所在地:〒861-4154 熊本県熊本市南区富合町平原198
- TEL:096-357-4379/FAX:096-357-1303
- 営業時間:8:30〜17:30(土日祝を除く)
- 創業:昭和30年(1955年)
- 許可:特定建設業 熊本県知事許可(特-7)第6510号
- 業種:造園工事業/土木工事業/とび・土工工事業
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